私がプルを保護した時、プルは3匹の子猫を順番にくわえて家の中に入って来た。
とりあえず保護しつつも先住ネコが既にたくさんいた為、倉庫部屋側のエリアで暮らすプルの3匹の子供達を譲渡しようと決めた時のこと。
私は過去に譲渡を大失敗している為、同じことを繰り返したくなかった。
考えた作戦はこれ。
会社の人目につく掲示板に貼り紙をしつつ、少しずつ自分でも社内で声を掛けてみることにしようというもの。
自作のお知らせを作って会社に持っていき、人通りの多い掲示板に貼りたいとお願いをすると、総務部からこっぴどく叱られてしまった。
そりゃそうだ。
私はあきらめが悪い。
職場に戻って当時の上司に報告をした。
「俺も猫と18年いたから気持ちはわかるけど、総務は鉄壁だよなぁ。。。うちの部屋の中なら貼っていいよ。」
ありがたかったけれど、狙っていた一番人通りの多いところを封鎖されたため、あと2枚を貼りたかった。
確か医務室の看護師が多摩川で猫のボランティア活動をしていると聞いたことがあった。
医務室に行って、お知らせを社内に貼ることに失敗したと話したところ、医務室の掲示板に貼っていいと言ってくれた。
総務部で怒鳴られた私の噂を聞いたデザイン室の課長が、デザイン室の入り口にも貼っていいよと言ってくれたので貼った。
目的の3枚を貼った為、ひとまずこれでしばらく待機した。
数日後、何人かから声掛けとメールがあり、色々と会話した結果で2匹の譲渡先を決めた。
<ミケのメス>
同フロアーの女の子の家(猫飼育経験豊富。家族多い。)
<キジトラのオス>
デザイン経由で紹介されたちょうど猫が欲しかったエンジニアの一人暮らしの青年の家(譲る前に、動物病院が近いペット可物件に素早く引っ越してくれた。)
残るはキジトラ白のオス。
「あと1匹だなぁ。もし残ってしまったらうちの子にしよう。」と思っていた。
ある日、職場でその人と雑談をすることはとても難しいと言われていた男性のSさんが、私の横に手をグーにして立っていた。
何か叱られんのかな?と思い、Sさんがしゃべりだすのを待った。
(イヤミとか小言しか言われたことがない💦)
Sさん「子猫、もう決まったの?」
私「あと1匹だけまだ決まっていないんですよ。」
Sさん
「あなたのお知らせの貼り紙見てから何度か家族会議をしたところ、もう猫を飼う以外の選択肢が無くなった。毎日家族で猫の話ばかりしている。ぜひ譲ってほしい。ただ、あと2週間くらい勉強と迎える準備が必要だから、整ってからでもいい?」
こんな感じで知らない間柄じゃない人たちにもらわれていくことになった。
このSさんが一番すごくて、その話が成立した日から毎日昼休みに猫の育て方関連の本を読んでいた。
ものすごく熱心に行きつけの動物病院を聞いてきたり、使っている猫砂の種類を聞いて来たりしてメモをとっていた。
もちろんSさんは、その日から私と普通に雑談をしてくれるようにもなった。
譲渡する前に3匹を動物病院に連れていき、病気関連がないことを確認した。
あったらその旨を話し、それでもいいというなら譲渡はするけれど、基本的にはしないつもりだった。
今でもその3匹の写真を見せてもらうことが出来ている。
みんな良い顔をしていて元気そうにしている。
プルの子供と知っているせいか、プルの面影も感じる。
当時、夫は最後のキジトラ白を譲渡する時、「俺の居ない間に渡してくれないか?」と言ってきた。
無関心なようで本当はすごく思い入れがあったのだと思う。
夫はプルと子供1匹は残してもいいと考えていて、密かにそのキジトラ白に名前を考えていた。
ただ、今もそうなのだけれど、どんな時もお世話の大半は私がしている。
これはずーっとそう。
お世話メインでしている側からすると1匹と2匹というのは大違い。
まして、すでに先住ネコ軍団(成ネコ軍団で病気等でお世話が多かった。)がいる上に、猫をさらに2匹という余裕は私にはなかった。
とにかく多頭飼育をやりきることが当時のミッションだったから。
可愛い可愛いってするだけなら誰にでもいっぱいの猫に出来ると思う。
ちょっとグズる夫にそんな文句の一つや二つはあったのだけれど、それは言わなかった。
いつかわかってくれるといいなぁくらいには思ってはいた。