社食のとあるレーンを担当していたおばちゃん。
ソバばかり食べている私に、
「たまにはこっち食べなよ。ソバ以外もおいしいんだから!」
と話しかけてきたのが強烈な最初の印象だった。
当時は、食堂で配膳する人が隣のブースから大声出すなんて。。。と思っていたけれど、連日の「こっちのご飯も食べてみないか?」攻撃に負けて時たま食べるようになった。
で、ときどき食堂外で顔を合わせるようになると、「〇〇さん、今日はソバに行くつもり?」と探りをいれてくる。
いつの間にIDカードを見たのか私の名前をおぼえていた。
別に私が何を食べようと食堂の売り上げとしては同じだし、その勧誘おばちゃんのレーンは結構忙しそうだったから客引きする必要も無かった。
バレンタインの日に、ABCチョコレートみたいなやつを握りしめて私の手のひらにくれた。
物をヒトの手のひらに直接置くということ自体が遠い昔のことのように感じる。
このおばちゃん、コロナの影響でシフトが減っていた。
そのことには気が付いていたのだけれど。
食堂から消えてしまった。
何でも、減ったシフトの合間で他の仕事を探していたらしい。
他のおばちゃんから聞いた。
お世話になりましたとか、何も言えなかった。
言う機会があっても、本人目の前にしてちゃんと言えなかったかもしれない。
つくづく「コロナ」が世界中に与えた影響の重みを感じた。
元には戻れない。
マスクが戻ってきても、消毒液が戻ってきても、ホットケーキミックスやトイレットペーパーが戻っても、おばちゃんは戻ってこない。
出会いもあれば別れもある。
でもこんなお別れのかたちは、あんまりだ。
銀歯のキラッと光る笑顔のおばちゃん。
おばちゃん、ありがとう。
私の心にあいた穴を補修してくれているかのように離れないぷーちゃん。
一時間乗っかられていたら、私が暑くなってギブ。
隣に置きました。
暑くて引きはがしたのに、こんな可愛い顔で隣で寝続けているのをみたら、とても悪いことをしてしまったような気が。。。